子供が無事産まれて喜びの束の間、母乳がわずかしか出ない、あるいは全く出なくて悩んでいませんか?
まず最初にこの記事は、「母乳がみるみる出るようになる!」といった内容ではないです。もしどうしても完母(完全母乳)で育てたい!と思っているなら別の記事をおすすめします。この記事は母乳がいい事はわかっているけどどうしても出ない、それが原因で世間的に肩身が狭い思いをしたり、子供への罪悪感を持ってしまってそれがストレスになり悩んでいるママさんに読んでもらいたくて書きました。
実際私の場合、出産後すぐはほとんど母乳が出ず、7日後の退院の日で2mlほどしかでませんでした。その後、病院から教えていただいたマッサージや、母乳が出る栄養素を取り入れた食事をしたり、母乳外来にも行きました。毎日毎日ネット検索で母乳が出るようになるための情報を読んでは実践しました。
しかし結果は、生後2か月頃に15mlほど出た日をピークにほとんど出なくなってしまいました。夫と相談し、「100日まで頑張ってみて、それでも出なければ完全ミルクにしよう。」ということになり、現在(生後4か月)完全ミルクで育てています。
この記事では、私と息子が完全ミルクに至るまでの体験談と、同じような悩みを抱えているママさんの気持ちがスカッと晴れる「完全ミルク」のメリットを5つ紹介します。
この記事を読み終えれば、例え完全ミルクになってしまったとしても、ストレスなく楽しく子育てできるようになってもらえると思います。
母乳が良い事はわかってる
母乳で育てることが良いことはわかってるし、例に漏れず私も出来る事なら母乳で育てたいと思っていました。ネットで検索してもこれでもかと言わんばかりに母乳のメリットが書かれていて、「やっぱり子供のためにも母乳が出るように努力しないと!」と思わされてきました。
また親や友人からも悪気はないんでしょうけど、私がミルクを与えている姿を見ると、「母乳は?」と聞いてきました。私が、「母乳はあまりでなくて。。。」と答えると、「そうなんだ。。仕方ないよね。」と返してくる。このやり取りいる?!と毎回感じながら、ミルクを与える事はまだまだ世間的に肩身の狭いことなんだと感じました。
さらにこの記事で使っている写真のような「授乳室」の案内板。。。最近でこそ”哺乳瓶”のイラストに変わっている所が多くなりましたが、この案内板を見る度に罪悪感みたいなものが生まれてきました。たぶん母乳が出るママさんは気になる事もないんでしょうけど。
いつも外出先でミルクをあげる時は無意識のうちに出来るだけ人目を避けて、授乳室でも誰か他のママさんがいる時は外で待って、誰も居なくなってから入ったりしていました。
母乳は出産初日が大切なはずなのに
母乳が出るようになるために私なりに努力はしてきました。でも一つ心残りがあるとすればそれは出産初日だったような気がします。
私の場合、妊娠~出産当日までは問題なく比較的順調に過ごしてきたのですが、予定日の翌日の朝に破水をして病院に行きました。そこから陣痛が始まり病院に着いてから7時間後に「子宮口が8cmからなかなか広がらない」、「赤ちゃんの呼吸がたまに途切れる」という状態から、「もしかしたら赤ちゃんにへその緒が巻きついているかも?」ということで分娩室に入りました。
分娩台で先生の合図に合わせて深呼吸とイキむを幾度となく繰り返すもなかなか出てきてくれず、やはりへその緒が首に巻きついていて出ようにも出れないとの事でした。
今思えば、帝王切開でもよかったのでは?と思うのですが、吸引分娩にて取り出すことになり、なんとか産まれてきてくれました。
ところが、赤ちゃんは2度ほど泣いたきり、それ以降泣かなくなり、手足もぐったりの状態で、胸の部分だけが激しく動いている状態でした。
このままでは危険ということで、カンガルーケア(産まれてすぐに赤ちゃんを抱っこする)も出来ず、息子は呼吸器に入れられて行ってしまいました。
なんでも「カンガルーケア」は、母乳が出るきっかけにとても重要なことらしく、赤ちゃんを抱くことでママさんの母乳が出るためのホルモンが出始めるきっかけに一役かっているらしいのです。
でも私はそれができませんでした。仕方ないと言えば仕方ないですが、「赤ちゃんの首にへその緒が巻きついてるってもっと早くにわからないものなの?」「陣痛の時から赤ちゃんの呼吸計測器?みたいなやつ途切れてましたけど?」「エコーとか一切使ってくれてなかったですけど?」とか、今思えばですが色々と疑問は残る出産でした。
その後、息子は丸3日間呼吸器の中で過ごすことになりました。その間私は授乳をさせてもらえませんでした。でも母乳育児をするためには、”出産初日からおっぱいを吸ってもらうこと”もとても大切なことみたいで、生後まもなくからいっぱいおっぱいを吸ってもらうことでホルモンの分泌が活性化されるそうです。
もちろん、私のように赤ちゃんやママさんの状態が良くなくてすぐに授乳できない人もたくさんいると思いますが、その場合は搾乳器などを使ってしっかり搾乳することが大切だそうです。
しかし、私は丸3日間、授乳はもちろん搾乳の指示ももらえませんでした。その時は病院にも先生にも信頼していましたし、授乳させてほしいという思いはありましたが、それができないくらい悪い状態なんだという認識でした。
結局、一番最初に授乳させてもらったのが、生後6日目でした。それまで搾乳の指示もなく抱っこもできませんでした。私と息子は生後~6日という最も大切な時期に抱っこも授乳も搾乳もできませんでした。
現在、母乳が出なくなった私が一つ心残りに思うことは、もっと出産前から母乳について勉強して今回のようになった場合でも「搾乳はさせてください!」と自分から言えばよかった。。。そうしていればもしかしたら母乳が溢れるほど出ていたのでは?。。。という事です。
もし、これから出産を迎えるママさんが読んでくれているとしたら、是非ともこのことは頭に入れておいてほしいと願うばかりです。
私と息子の100日戦争
生後7日目に退院した私と息子の母乳育児のための闘いが始まりました。
まずは、「とにかくたくさんおっぱいを吸ってもらうこと」が大切ということで実践しました。まだ母乳はほとんど出てなくて赤ちゃん本舗で買ってきた搾乳器で搾乳してみたら5mlほどでした。当然これでは足らないので母乳とミルクを併用してあげました。
おっぱいの左右が偏るといけないので、左のおっぱいを10分、右のおっぱいを10分、それを2回繰り返してからミルクをあげる。それを3時間おきにあげる毎日を過ごしました。
ネットで検索すると、「左右5分ずつを繰り返して1時間ほどかけて飲ました方がよい」とか「赤ちゃんが吸っているうちは無理に左右を変えない方がよい」とか、各病院や先生や助産師さんによってバラバラ。。。何を信じてよいか手探りの中私なりに頑張って与え続けました。
授乳が終わると、おっぱい&乳首マッサージをしたり、母乳が出るようになるための栄養素を取り入れた食事を意識したり、おっぱいをあげる抱き方や口にくわえさせる角度を研究したり。。。色々と試行錯誤しながらの毎日でした。
生後1か月を過ぎても母乳はほとんど出ませんでした。この頃からおっぱいを口に持っていくと最初の数分は吸ってくれるのですが、すぐに嫌がって泣き叫ぶようになりました。それでもなんとか口に咥えさせて飲まそうとしましたが、すぐにペッ!と吐き出し明らかに嫌がりました。その後ミルクの入った哺乳瓶を口に持っていくと、「待ってました!これこれ!」と言わんばかりに一瞬で泣き止み、ゴクゴク飲んでいました。
ミルクは飲んでくれるけど、おっぱいは吸ってくれない理由には、「1.乳首が吸いにくい」「2.母乳が美味しくない」「3.単純に出なくてもどかしい」という大きく3つの理由があるようで、その一つ一つを解決していく努力をしました。
1.乳首が吸いにくい
これに関しては、毎日マッサージをしたり、抱っこの角度や、乳首の咥えさせ方を色々変えてみたり私なりに色々試してきた事でした。3時間おきの授乳でヒリヒリした乳首をさらに柔らかくするためにマッサージを繰り返す毎日もけっこう辛かったです。
また、「哺乳瓶の方や吸いやすいことを覚えてしまって、乳首を吸わなくなっている」という記述も見たので、哺乳瓶の乳首を吸いにくいものに変えたりもしました(「母乳相談室」の乳首を使ったり)が、哺乳瓶の方はどんな乳首に変えてもゴクゴク飲んでいました。。
2.母乳が美味しくない
こちらも食べ物に気を使って努力してきただけにこれ以上どうしようもないことでした。ネット検索の中では「母体で3時間以上経過した母乳はまずくなっている」という記事もありました。「え?授乳は3時間おきなのに、じゃぁどうすればいいの?!」と怒りたくなったりもしました。あとは「ストレスを抱えた母乳はまずくなる」とか。。。
3.単純に出なくてもどかしい
これはその通りだと思い、息子に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。なんとか出るようにがんばってるんだけど、どうしても出ないのよね。。。ごめんねって気持ちが日に日に増してきました。
生後2か月を過ぎた頃には、乳首を口の近くに持って行っただけで、ギャン泣きするようになりました。それでも何度も咥えさせようとすると、まるで虐待されているようなうめき声をあげ、断末魔の叫びになりました。それでも与え続けていればいつか出るようになるかも?という思いで与え続けましたがダメでした。
この頃から、これだけ嫌がる息子を見て「これって本当に息子のためなの?誰のための母乳育児なの?」って疑問を抱くようになりました。母乳がいい事はわかっている。けど、これだけ嫌がる息子に無理やり与え続けることが本当に息子のためなのか?もしかしたら私のエゴなんじゃないの?世間体を気にしてるだけ?と思うようになりました。
母乳を嫌がる息子、それを見て辛くなる私でしたが、母乳の中に含まれる成分はやはり良いのだろうということで、授乳の時は事前に搾乳しておいて、それをミルクに混ぜてあげるようにしました。それは問題なくゴクゴク飲んでくれました。
それからは、ミルクの時間の30分前から搾乳、オムツを替えてミルクを作って飲み終わるのに1時間弱、飲み終えてからゲップをさせて寝かしつけるまでに1時間、これだけで2時間半ほどかかりました。これに乳首マッサージや洗濯、お風呂などあっという間に次のミルクの時間。これっていったい私はいつ寝るの?ってなりましたが、他のママさんもやっていることなどで自分だけ弱音は吐けないと思い過ごしました。
生後3か月が近づく頃でも母乳はほとんど出ませんでした。それでも搾乳した数mlのわずかな母乳をミルクに混ぜて与え続けました。そんなある日、その姿をずっと見ていた夫から「もう十分がんばったからいいんじゃない?今まで一回も愚痴もしんどいも言わずにほんとすごいよ!ミルクにしてくれた方が俺も手伝えるしね。」と言ってくれました。
私はこれまでの辛い葛藤と肩の荷がスッと消えたような感じになり、とても楽になりました。誰よりも夫が味方になってくれる事がなによりも嬉しく感じました。
完全ミルクでもメリットはたくさん!
結果、生後100日を機に完全ミルクで育てることになりました。そう決めた今は不思議と外でミルクをあげていても周りの目が気にならなくなりました。しかも完全ミルクにしてからいい事や楽しい事がたくさん増えました!
1.ストレスフリーになった
まずは完全ミルクにしてから一切のストレスがなくなりました。ミルクを作る手際も早くなりましたし、息子もぐびぐび飲んでくれますし、ミルクの時間は泣いたりしないので逆にまどろみの時間になりました。
2.ミルクを飲んだ量が明確にわかる
次にミルクのメリットと言えば”どれくらいの量飲んだかがわかる”ことだと思います。子供の成長に合わせて飲む量も増えてきますし、あまり飲まないとどこか体調がすぐれないのかな?とすぐに気づきます。母乳だと1g単位の正確な体重計が家にない限り実際に飲んだ量がわかりません。これって何気にとても重要なことかと思います。毎日育児日記をつけていますが、ミルクを飲んだ量と回数を明確に記録できているので、一日に飲んだ総量もわかります。体調がおかしいと飲む量にも必ず影響が出るでしょうし、成長速度に合わせてミルクの量を調整することも容易にできるようになりました。
3.夫が手伝ってくれてお出かけまでさせてくれた
これまでは、「授乳の時間=私」でしたが、完全ミルクにすることで、夫もできるので手伝ってくれるようになりました。夫は元々夜型で深夜遅くまで起きている事が多かったので、息子が深夜に泣きだしたらオムツとミルクをあげてくれて、私を寝かせてくれるようになりました。
また、出産してからほとんど外出してなかったし、近所のスーパーに行く時も当然息子を連れて行っていましたが、「たまにはお友達と出かけてきたら?」と言ってくれました。その言葉に甘えて夫の仕事が休みの土日に何度か友人とご飯を食べに行ったり、映画を観に行ったりさせてもらいました。
まさか、こんなに早い時期に一人で外出できるなんて夢にも思っていなかったので、本当に嬉しかったです。
4.食事制限解禁!
妊娠がわかってから、「カフェインはダメ!」「生ものはダメ!」などいろいろと食事制限をしてきました。なんとくイメージでは”出産までは我慢!”と思っていましたが、よく考えたら出産後の授乳期間中もほぼ変わらずその食事制限必要じゃん!ってがっくりきたのを覚えています。
今では、大好きなカフェオレも飲めるようになり、先日1年ぶりにカツオの塩タタキの美味しいお店に行ってたっぷり食べてきました。
5.好きな服を着れるようになった
授乳中は、基本的にすぐにおっぱいを出せる格好が必要でした。うちの場合は6月に産まれたので、薄着で済んだのでまだよかったのですが、これが冬の場合はけっこう脱ぐのが面倒です。「授乳口付き」の服もネットでは売っているのですが、あまり気に入った服はなく。。。もうなんでもいいや!ってなってパジャマのようなヨレヨレの授乳口の付いたスエットワンピを何着か買って使いまわすといった事になり、おしゃれからは遠ざかっていきました。
完全ミルクになってからは、妊娠前から着ていた服も着れるようになり、新しい服を買う楽しみも増えたり、産後ダイエット頑張ろう!とか思えるようになりました。
まとめ
いかがでしたか?母乳がいい事はわかっています。そんな中私なりに努力はしてきましたが出ないものは出ない。夫と相談して100日目を機に完全ミルクに変えてからストレスフリーになったお話でした。
母乳で育てる方がおそらく良い事だとは思います。「子供が病気になりにくい」「子供のIQが高い」「母の子宮頸がんの予防になる」など統計学的にはそうなのかもしれませんがはっきりとした根拠のないメリットが数多くありますが、私は完全ミルクにすることで現在楽しく育児ができています。
息子にとって、完全ミルクで良かったのか?それはこの先何十年経ってみないとわからない事だと思います。でももし近い将来、仮に息子が何かの病気になった時、私は「完全ミルクにしたせいだ」とは思いません。だって、他にも遺伝や生活環境や色んな要因が関係してくるはずですから。
育児で一番大切なことは、「母子共にストレスなく楽しく過ごすこと」のような気がします。子供のために母乳が出る努力をすることはとても良い事ですが、それによってママさんがストレスを感じ育児が辛くなってしまう事の方が良くない事のように私は感じています。
ですからこれを読んで、私と同じような悩みを持っているママさんの気持ちが少しでも楽になれば幸いです。