Adobe Premiere Pro CC(ver.14.0)の使い方を後で忘れないように自分用に記録した覚書です。初めてPremiere Proを使って動画を編集してみたい!といった方の参考になれば幸いです。
ここでは、「編集した動画を用途別に書き出す設定方法」について書き綴っています。
1.レンダリング
動画を編集していると、【タイムライン】パネルの上部にある「レンダリングバー」が黄色や赤色に表示されている。この状態は、映像をきれいにする「レンダリング」という作業が必要なことを表している。編集した動画を「書き出す」前にまずはこの作業が必要。
【レンダリングバーの色の違い】
黄色:プレビュー時のレンダリングは不要。書き出し時にレンダリングが必要。
赤色:プレビュー時のレンダリングが必要。フルフレームレートでは再生不可。
緑色:黄か赤の箇所をレンダリングした後。フルフレームレートで再生可能。
レンダリングを行うには、【シーケンス】メニュー ≫ [インからアウトをレンダリング]を選択するとレンダリングが開始される。レンダリングが終了すると「レンダリングバー」が緑色になる。
2.イン点(開始位置)とアウト点(終了位置)の設定
こちらも「書き出す」前の作業。イン点/アウト点を設定すると、動画を書き出す際にその範囲のみを書き出すことができる。設定していない場合は、当然ながらタイムラインのクリップの最初から最後の時間まで書き出される。
イン点を設定するには、【時間インジケーター】を【0秒】に合わせて、【マーカー】メニュー ≫ 【インをマーク】(Iキー)を選択すると、イン点が作成される。
次に、【時間インジケーター】を編集したクリップの一番後ろに合わせて、【マーカー】メニュー ≫ 【アウトをマーク】(Oキー)を選択すると、アウト点が作成される。
3.書き出し設定
【ファイル】メニュー ≫ 【書き出し】 ≫ 【メディア】(Ctrl + M)を選択すると、【書き出し設定】パネルが開く。

書き出し設定
■シーケンス設定を一致:
チェックボックスをチェックすると、シーケンス設定と同じ内容に設定される。
■形式:
さまざまなビデオ形式やオーディオ形式を選択できる。
■プリセット:
あらかじめ用意されている書き出し設定をメニューから選択できる。
例)Youtube用
形式:H.264
プリセット:YouTube 1080p フル HD
例)DVDビデオ用
形式:MPEG2-DVD
プリセット:NTSC DV Wide
■出力名:
クリックすると、書き出すファイルの名前と保存する場所を設定できる。
■【ビデオ】タブ:
各チェックボックスをチェックすることで、解像度やフレームレート、フィールドオーダー、縦横比、ビットレートを選択できる。
→□【最大深度に合わせてレンダリング】
画質が向上するが、書き出しに要する時間が長くなる。
→【ビットレート設定】
画質とデータサイズが決まる。

例)
ビットレートエンコーディング:CBR
ターゲットビットレート:50
■【オーディオ】タブ:
オーディオコーデックやサンプルレ^ト、チャンネル、ビットレートを選択できる。
→【基本オーディオ設定】
サンプルレート:48000 Hz
チャンネル:ステレオ
音質:高
→【ビットレート設定】
ビットレート(kbps):320
■【キュー】ボタン:
クリックすると、Adobe Media Encorder CCが起動して、シーケンスのデータを送信してバックグラウンドで書き出すことができる。
■【書き出し】ボタン
クリックすると、Premiere Proでファイルの書き出しが始まる。
4.用途別書き出し設定例
4-1.WEB用データの書き出し(.mp4)
YouTubeやFacebookなどのSNSに高画質な動画をアップロードする際の設定例。
書き出し設定
・形式:H.264
・プリセット:YouTube 1080p HD
【ビデオ】タブ
基本ビデオ設定
・幅:1920
・高さ:1080
・フレームレート:29.97
※60フレームで撮影した・制作した動画の時は【59.94】を使用。
・フィールドオーダー:プログレッシブ
・縦横比:正方形ピクセル(1.0)
・テレビ方式:NTSC
・最大深度に合わせてレンダリング:オン
エンコード設定
・プロファイル:ハイ10
・レベル:4.2
ビットレート設定
・ビットレートエンコーディング:CBR
・ターゲットビットレート:50
詳細設定
・キーフレームの間隔:オフ
VRビデオ
・VRビデオとして処理:オフ
【オーディオ】タブ
オーディオ形式設定
・オーディオ形式:AAC
基本オーディオ設定
・オーディオコーデック:AAC
・サンプルレート:48000 Hz
・チャンネル:ステレオ
・音質:高
ビットレート設定
ビットレート(kbps):320
詳細設定
・優先:ビットレート
その他設定
□最高レンダリング品質を使用:オン
□プロジェクトに読み込む:オフ
□開始タイムコードを設定:オフ
□プレビューを使用:オフ
□プロキシを使用する:オフ
□アルファチャンネルのみレンダリング:オフ
補間:フレームサンプリング
4-2.DVDデータの書き出し(.m2v)
DVDプレーヤーで再生できるDVDディスクを作成する場合の設定例。
書き出し設定
・形式:MPEG2-DVD
・プリセット:
NTSC DV Wide Progressive…HD(1080 または 720)29.97fps、SD ワイドスクリーン(16:9)
NTSC DV Progressive…SD 4:3 縦横比
【ビデオ】タブ
基本ビデオ設定
・品質:100
・フレームレート:29.97
・フィールドオーダー:偶数から
・縦横比:ワイドスクリーン16:9
・テレビ方式:NTSC
・最大深度に合わせてレンダリング:オン
ビットレート設定
・ビットレートエンコーディング:CBR
・ターゲットビットレート:8
GOP設定
・Mフレーム:3
・Nフレーム:15
【オーディオ】タブ
オーディオ形式設定
・オーディオ形式:MPEG
ビットレート設定
ビットレート(kbps):224
詳細設定
・サイコアコースティックモデル:モデル2
・コピーライトビット設定:オフ
・オリジナルビット設定:オフ
その他設定
□最高レンダリング品質を使用:オン
□プロジェクトに読み込む:オフ
□開始タイムコードを設定:オフ
□プレビューを使用:オフ
□プロキシを使用する:オフ
□アルファチャンネルのみレンダリング:オフ
補間:フレームサンプリング
4-3.Blu-rayデータの書き出し – H.264(.m4v)
Blu-rayプレーヤーで再生するための、Blu-rayディスクを作成する場合の設定例。
書き出し設定
・形式:H.264 Blu-ray
・プリセット:HD 1080i 29.97
【ビデオ】タブ
基本ビデオ設定
・ビデオのサイズ:1920 x 1080
・フレームレート:29.97
・フィールドオーダー:奇数から
・縦横比:正方形ピクセル(1.0)
・テレビ方式:NTSC
・プロファイル:ハイ
・レベル:4.1
・最大深度に合わせてレンダリング:オン
ビットレート設定
・ビットレートエンコーディング:CBR
・ビットレートレベル:カスタム
・ターゲットビットレート:25
詳細設定
・キーフレームの間隔:オフ
・マクロブロック適応型フレームフィールドコーディング:オフ
【オーディオ】タブ
オーディオ形式設定
・オーディオ形式:PCM
基本オーディオ設定
・サンプルレート:48000 Hz
・チャンネル:ステレオ
・サンプルサイズ:16ビット
その他設定
□最高レンダリング品質を使用:オン
□プロジェクトに読み込む:オフ
□開始タイムコードを設定:オフ
□プレビューを使用:オフ
□プロキシを使用する:オフ
□アルファチャンネルのみレンダリング:オフ
補間:フレームサンプリング
4-4.Windows用の動画形式 – Windows Media Video(.wmv)
Microsoftが開発したWindowsに標準対応している動画形式。プレゼンや資料動画などビジネスシーンでよく使われる。街頭ビジョンや駅のデジタルサイネージなどでも使用される。
書き出し設定
・形式:Windows Media
・プリセット:HD 1080p 29.97(カスタム)
【ビデオ】タブ
ビデオコーデック
・ビデオコーデック:Windows Media Video 9
基本ビデオ設定
・幅:1920
・高さ:1080
・フレームレート:29.97
※60フレームで撮影した・制作した動画の時は【59.94】を使用。
・フィールドオーダー:プログレッシブ
・縦横比:正方形ピクセル(1.0)
・最大深度に合わせてレンダリング:オン
ビットレート設定
・ビットレートエンコーディング:CBR、1 パス
※画質を優先する場合は固定ビットレート【CBR】、データサイズを小さくしたい場合は可変ビットレート【VBR】を使用。
※【2パス】は、映像全体を解析してからビットレートを調整する方式。2回処理を行うのでエンコードに時間がかかるが、高圧縮かつ高品質な動画を作成できる。
・最大ビットレート(kbps):8,000
※画質とデータサイズのバランスがよい設定は【8,000】、さらに画質を上げたい場合は【16,000】または【24,000】
詳細設定
・画質:80
※画質と動きのどちらを優先するかの設定。数値を上げるほど高画質になるが、最大値【100】に設定した場合、コマ落ちしたような表現になることがある。エンコードした動画に違和感が生じた場合は、【70】~【50】と数値を下げる。
・デコーダーの複雑度:自動
・キーフレームの間隔:5
・バッファーサイズ:1
【オーディオ】タブ
オーディオコーデック
・オーディオコーデック:Windows Media Audio 10 Professional
基本オーディオ設定
・サンプルレート:48000 Hz
・チャンネル:ステレオ
・サンプルサイズ:16ビット
ビットレート設定
・エンコードパス:1 パス
・ビットレートモード:固定
※音質を優先する場合は【固定】、データサイズを小さくしたい場合は【可変】。
・ビットレート(kbps):192
※音質を上げたい場合は【256】
その他設定
□最高レンダリング品質を使用:オン
□プロジェクトに読み込む:オフ
□開始タイムコードを設定:オフ
□プレビューを使用:オフ
□プロキシを使用する:オフ
□アルファチャンネルのみレンダリング:オフ
補間:フレームサンプリング
4-5.Mac用の動画形式 – QuickTime(.mov)
Appleが開発したMacに標準対応している動画形式
書き出し設定
・形式:QuickTime
・プリセット:Adobe Stock HD with Audio (Apple ProRes 422 HQ)
【ビデオ】タブ
ビデオコーデック
・ビデオコーデック:Apple ProRes 422 HQ
基本ビデオ設定
・品質:100
・幅:1920
・高さ:1080
・フレームレート:29.97
※60フレームで撮影した・制作した動画の時は【59.94】を使用。
・フィールドオーダー:プログレッシブ
・縦横比:正方形ピクセル(1.0)
・最大深度に合わせてレンダリング:オン
【オーディオ】タブ
オーディオコーデック
・オーディオコーデック:非圧縮
基本オーディオ設定
・サンプルレート:48000 Hz
・チャンネル:ステレオ
・サンプルサイズ:16ビット
その他設定
□最高レンダリング品質を使用:オン
□プロジェクトに読み込む:オフ
□開始タイムコードを設定:オフ
□プレビューを使用:オフ
□プロキシを使用する:オフ
□アルファチャンネルのみレンダリング:オフ
補間:フレームサンプリング
5.Adobe Media Encorder CCで動画を書き出す
【書き出し】ではなく、【キュー】を使うことでPremiere Proの連携ソフトであるAdobe Media Encorder CCが起動して、書き出しを行うことができる。バックグラウンドで複数の書き出しを行うことができるので、1つのシーケンスデータで複数の異なる動画形式のファイルを作成できる。
【書き出し設定】ダイアログボックスの【キュー】ボタンをクリックすると、Media Encorderが起動する。
Media Encorderの【キュー】パネルに、Premiere Proのシーケンスデータが送信される。
キューを右クリックしてショートカットメニューから【複製】を選択すると、キューが複製できる。
キューをクリックすると、【書き出し設定】パネルが表示されるので、設定を変更して【OK】ボタンをクリックすれば設定を変更できる。
【キュー】パネルの右上にある【キューを開始】ボタンをクリックすると、ファイルの書き出しが始まる。Media Encorderでの書き出しはバックグラウンドによる書き出しなので、書き出しを行っているシーケンス以外の作業も可能。Premiere Proによる動画の書き出しでは、最初の書き出しが終了しないと次に着手できないが、Media Encorderのキューを使用すると、複数のファイルの書き出しをパッチで設定できる。